2020年4月14日付 朝日新聞22面 「語る‐人生の贈りもの‐ 建物の中身にまで関わらないと 建築家 伊東豊雄9」
朝日新聞に掲載された新聞記事の中から、建築家の伊東豊雄(いとう・とよお)氏について取り上げた記事(2020年4月14日付 朝日新聞22面) 「語る‐人生の贈りもの‐ 建物の中身にまで関わらないと 建築家 伊東豊雄9」を読んだ感想をまとめていきます。
この記事は朝日新聞の文化・文芸欄に連載されている記事で、今回は1991年に完成した八代市立博物館・未来の森ミュージアム(熊本県)をもとに、施設の建築にまつわるいきさつや伊東自身の公共施設の建設に対する考え方をまとめたものです。
記事の中で伊東氏は博物館について、施設の外観や周辺などの風景を作ることは思い通りにできたとしながらも、館内の展示方法などには関わらせてもらえず、展示内容は旧態依然となってしまったことについて、「中身のプログラムに関わらないと公共建築は変わらないということを痛感しました」と語っています。
この記事を読んでから、これまでに私が利用してきた博物館などの公共施設について思い返してみると、近年に作られた、もしくはリニューアルされた施設を利用すると、外観をはじめとしたデザイン性や、動線をはじめとした利用のしやすさといったものが両立されているというように感じます。
その一方で、デザインを優先した結果、後年になって施設の維持・管理が大変になった事例も耳にしたことから、外観だけを重視した施設のあり方を疑問に思っている部分もあります。私自身は公共施設のあり方に関して、施設を運営する行政やそれを作る建築家に加えて、専門職・利用者の立場から考えていかなければいけない問題であると考えています。
公共施設を作るにあたっては、外観をはじめとしたハードの部分だけではなく、展示のあり方や利用のしやすさといったソフトの部分に着目していくこと、そしてこれらの部分に建築家が関わっていくことも必要であるという建築のあり方から、公共施設について考えさせられる内容の記事でした。
YN